ED（勃起不全）改善に知っておきたい原因・治療方法の詳細と鍼灸の勧め

加齢やストレス、さまざま原因で起こるED（勃起不全）。

EDはいくつかの原因が重なって起こる事も多く、原因を特定して対処することが重要になります。

原因や症状によっては鍼灸で対応することが効果的なケースもあります。

今回はそんなEDの原因と治療方法について綴らせていただきました。

なぜEDになるのか？

勃起は性的な刺激を受けて、脳の興奮が神経を通して陰茎（ペニス）に伝わり、陰茎海綿体の血管が拡がることで起こります。

勃起や勃起の持続には神経や血管、内分泌系といった全身の機能が円滑に働く必要があります。

加齢やストレスなどの原因によって陰茎海綿体への血流が低下すると勃起障害になります。

勃起障害の起こる原因

加齢、糖尿病、心血管疾患、腎臓疾患、神経疾患、ホルモン数値、外傷、睡眠障害、肥満、喫煙、ストレス、薬剤性の大きく12種類の原因があります。

1.加齢

加齢による男性ホルモン（テストステロン）の低下や陰茎の血管障害（陰茎海綿体の内皮細胞障害）によって起こります。

血管は加齢に伴って硬くなり、血管を広げる物質（NO）は血管内側を血液が流れることで分泌が促進されるため、徐々に血管は狭く細くなってしまいます。

ホルモンの量も低下していくなか、ホルモンを運ぶ通路である血流悪化は更なる悪循環を生じます。

そのためEDは年齢に比例して増加し、70代の約7割が中等度または重度のEDと言われています。

2.糖尿病

糖尿病は血糖値が高くなることで、血管や神経をボロボロにしてしまう病気です。

血糖値の高い状態が続くと、神経の代謝異常により不要物質が溜まったり、神経に栄養を送る血管が傷ついてしまいます。

細い血管や末梢神経から障害されるため、細い血管が密になっている陰茎では如実に影響が現れます。

実際、糖尿病患者の35〜90％にEDが発生すると言われています。

そのため、血糖値をコントロール（hba1cを7以下）することが大切になります。

3.心血管疾患

高血圧や血管障害により、血圧の維持や生理活性物質のバランスが乱れることでEDが現れます。

陰茎の血管は心臓の血管よりも細いため、血液循環に障害があった場合に真っ先に影響を受けます。

勃起は陰茎の血管が拡張（血液が充満）することで起こるため、軽い血流障害であれば勃起力の低下、重度の血流障害は勃起不全につながります。

また、血圧を下げる薬（降圧剤）を服用している場合にはバイアグラの服用ができないなど、飲み合わせに注意が必要なケースもあります。

循環器に疾患をお持ちの場合には、ED治療薬はネットで個人購入しないようご注意ください。

4.腎臓疾患

血液の濾過機能が低下することで血液が綺麗にならず、血管の内側（血管壁）を傷つけてしまうことで動脈硬化につながります。

腎臓疾患は血流障害や神経障害の他にも、テストステロンの低下、高プロラクチン血漿などのホルモン異常も引き起こします。

男性ホルモン（テストステロン）低下や高プロラクチンは性欲が減退にするためEDを悪化させます。

5.神経疾患

神経は脳の興奮を伝える働きをしているため、中枢神経や末梢神経障害の疾患はEDを引き起こします。

ストレスによる自律神経の乱れ、冷えによる末梢神経の不調は、末端の血管を収縮させてしまうので、血流悪化につながりやすくEDを悪化させてしまいます。

『自律神経の働きや整え方についてはこちら』

6.ホルモンバランスの乱れ

テストステロンの値が低い、黄体形成ホルモンの値が高いなど、ホルモンバランスの乱れは性行為への意欲低下や海綿体組織障害を引き起こします。

テストステロンのような性欲を亢進するホルモンもあれば、黄体形成ホルモンのような性欲を抑制するホルモンもあります。

そのため男性ホルモンが減少していない状態でも、プロラクチンや黄体形成ホルモンといった性欲を抑える数値が高い場合には、性欲が減退してしまいます。

7.外傷（怪我）

外傷や手術による陰茎への血流低下や神経障害がEDの原因になります。

交通事故により陰茎の神経をコントロールしている脊髄を損傷してしまう、骨盤内臓器の手術によって骨盤内の血流悪化や神経障害が起こってしまう、などの要因からEDになります。

8.睡眠障害

睡眠不足は疲労が蓄積して血流悪化につながります。

特に睡眠時無呼吸症候群は、レム睡眠障害により眠りが浅くなるだけでなく、口呼吸によって酸素の取り入れが悪くなり「夜間酸素飽和度低下」による海綿体障害を引き起こします。

9.肥満

肥満は精巣温度を上昇させます。

精巣温度の上昇は、精子の発育（造精や運動能）に悪影響を及ぼします。

また、運動不足はテストステロンの低下や動脈硬化につながり、EDを更に悪化させます。

10.喫煙

タバコに含まれる二コチンが血管を収縮することで血行不良になります。

また、精子の造精機能や運動率の低下にもつながり、喫煙者は非喫煙者に比べて約15%も精子の量が少ないとの研究結果もあるほどです。

男性ホルモン（テストステロン）の大部分は精巣から分泌されて血液に乗って運ばれるため、血流と精巣の状態を悪化させぬよう努める必要があります。

11.ストレス

子作りのプレッシャーによるストレス、鬱や心的外傷後ストレス（PTSD）もED発症率を高めます。

ストレスは血流悪化や性欲減退によりEDを起こすだけでなく、メンタル面の不調により生じる「心因性ED」の原因にもなります。

『心因性EDに関する詳細はこちら』

12.薬剤

前立腺癌の治療薬（リュープリン）など、長期服用することで男性ホルモンの合成を抑制して性欲を低下させる薬があります。

その他、解熱鎮痛剤や血圧を下げる薬（降圧剤）がEDの原因になることもあります。

多くは薬の変更や服用中止で改善しますが、減薬や断薬は必ず主治医の指示で行ってください。

AGA治療薬にも注意が必要です

薬局などで購入可能な「ミノキシジルを主成分とする薬」は男性ホルモンに関与しませんが、病院で処方される「フィナステリドを主成分とするする薬」は男性ホルモン（ジヒドロテストステロン)の生成を抑えてしまいます。

治療方法

ED治療薬が中心です。

まずはバイアグラの投与が可能か検査を行い、使用可能な場合はバイアグラ療法へ移行します。

効果がみられない場合やEDの原因によっては補助具や手術なども検討されます。

中折れや勃起持続力の低下など、ED症状が初期の場合には鍼灸も効果的です。

ED治療薬

日本ではバイアグラ・シアリス・レビドラの3種が許可されており、それぞれ特徴が異なります。

• バイアグラ：30-60分で効果が現れて、約4時間、しっかりと効く
• レビトラ：15-30分と短時間で効果が現れて、約8時間、しっかりと効く
• シアリス：30-60分で効果が現れて、約36時間、マイルドに効く

「ED治療薬を飲めない」または「飲んでも効果のない」場合には、血管を拡げる作用のある薬（プロスタグランジンE1）を陰茎に注射する方法もありますが、性行為20〜30分前に注射する必要があるため一般的とは言えず、血管性EDの鑑別診断法としてが使われているのが現状です。

陰圧式勃起補助具

プラスチックの筒に陰茎を挿入してポンプ吸引する勃起補助具です。

吸引により陰茎を勃起させるため、副作用がなく長期間の使用が可能です。

しかし勃起状態を持続させるために、吸引勃起後に陰茎絞扼リングで根本を絞扼する必要があり、痛みや不快感で断念される方もいます。

手術

陰茎動脈または静脈異常がある場合には血管外科手術が行われます。

また、全ての治療方法が無効である場合には「陰茎プロステーシス移植手術」という、陰茎に支柱を埋め込む方法も検討されます。

からだ本来の力で改善していく「鍼灸」

鍼灸は血流や神経障害、ストレスによるEDの改善に効果的です。

鍼灸は全身を整えることで、骨盤内血流や自律神経の機能向上やストレス緩和作用が期待できます。

全身（内臓）の調子が整うと栄養素の吸収も向上して、更なる血流改善へと好循環につながります。

実際に器質性EDをはじめとした、さまざまなEDに対して骨盤周囲の経穴（ツボ）に鍼刺激をおこなった結果、骨盤神経を興奮させ勃起機能を亢進させる旨の報告もされており、ED治療薬（PDE5阻害剤）が無効な糖尿病性EDにおいても一定の効果を示すことができています。

中折れや勃起持続力の低下など、「EDを疑い始めた方」や「病院の受診にハードルを感じている方」は、からだ本来の力で回復する鍼灸から取り組まれることをオススメします。

EDを根本的に改善するために

EDは原因に適した対策が大切になります。

現在の状態と原因を確認して、症状が重症の場合には泌尿器科の受診をご検討ください。

中折れや勃起持続力低下など、ED症状が初期の方には鍼灸もオススメです。

この記事の著者

中島裕（Nakajima Yutaka）

鍼灸は神経や血流障害が原因で起こるEDの改善に優れています。
そのため「からだ本来の力で改善したい方」におすすめです。

当院は私一人で営んでおり、鍼灸以外の看板は掲げていません。
また、完全予約制・入れ替え制でご案内のため、安心してお過ごしいただけます。

ED治療薬以外の療法をご検討中の方は是非お声掛けください。

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